去る者追わず
上司にこっぴどく怒鳴られていた同僚が正式に辞める事になった。
まだ周知されてないが、やっぱりなという思いは誰しもがいだくはず。
そして先駆者を見送る俺は、「残念だ」という気持ちより「解放されてよかった」と思う。
来る日も来る日も同じように上司から怒られて、精神的に追い込まれていた。自分ではないのに、そのやり取りを聞いているだけでかなり不快だった。
人間性を根本的に否定するやり方。あのやり方で部下が育つとは到底思えない。
思えば俺がこの部署に配属されて1年半。今回辞めた彼のポジションの人はみんな3ヶ月以内に辞めて行った。
1人、2人なら「人材にハズレがあった」と言えるかもしれないが、今回で3人目が辞めた。
上司の言い分だと仕事が出来ないゆえの退職とするだろうが、今回でどう考えても指導していた上司に責任があるという事が確定するに違いない。
決して仕事が出来るとは言えないにしろ、まだ20代半ば。失うには惜しいはずの人材。
当然、彼のポジションには誰かしら必要なわけで、また他部署からの補充があるに違いない。
しかし、それを会社が認めるのか?追い込み部屋とかした部署に移りたいと手を上げる人はいるのか?
人を増やして部署を大きくするどころか、人を辞めさせて会社の人材を減らしている状態だ。
しかしながら、当の上司は口を揃えてこう言うだろう。
「あいつは仕事が出来なかった」
1人目の犠牲者がこの部署に迎えられた時、上司はこう言っていた。
「君は意外性があるから期待してる」
2人目の犠牲者が迎えられた時はこう。
「辞めた○○と違って君は仕事出来るから期待してる」
そして今回の犠牲者はこう。
「これまでの○○と○○はあっちの部署でダメだったからウチに来た。君の場合は私の指名だから」
その結果がこれだ。つまり誰がやってもダメなポジションなのだ。
上司はその事に気が付くのか?それともしらを切って、また平然とウソを突き通すのか?
ただ言える事は、周囲からの上司に対する目は一層厳しくなり、信頼はなくなり、売り上げ以前に仕事が回らず部署の存続が危うくなった事。