社畜ログ - いったい何のための仕事なのか -

混沌うずめく大都会で社畜を満喫する20代後半のサラリーマンライフ。働くという事の意味を忘れない為に、私書きます。

低賃金労働者の社畜は誰かと幸せになろうとしてはいけない

一緒に暮らしている彼女の誕生日。


平日の為、仕事終わりにいろいろ買う事にした。


職場から自宅まで1時間。


今日は彼女の好きなものをだけを食べよう。きっと喜んでくれるに違いない。そう思いスーパーへ。


2割引のシールが貼ってある惣菜を買う。見てくれは悪いけど、仕事終わりだから仕方ないって理解してくれるはず。


長年付き合っているから何が好みなのかは手に取るように分かる。


ケーキはホールじゃなくて、いろんな種類が食べれる方がいいってこの前言ってたな。


銀座のレストランで飲んだサングリアが美味しいって言ってたな。そうだ!スーパーでグレープフルーツを買ってサングリアに漬けてみよう。銀座のレストランもグレープフルーツが漬けてあったし!


チーズもちょっといいやつを買うか。


こんなもんで大丈夫でしょ。


途中で待ち合わせをして一緒に帰る。お互い仕事終わりでクタクタなせいか口数も少ない。


自宅に着いたら、主役には座らせて準備をする。と言っても、惣菜を温める事と、サングリア用のグレープフルーツを切る事くらい。


「何でグレープフルーツ?」


「銀座のレストランで飲んだアレが美味しいって言ってたから、コレ!」


「あぁサングリアね。美味しいよね。」


期待してた反応はなかった。


いや、まだある。目の前の好物にさぞ喜んでくれるかなと思ったら、


「これだけ?足りなくない?」


「え?」


「いつぞやの惣菜パーティーの方が豪勢じゃない?」


ここで気付いた。


女は比べる生き物だった。


食事が終わって、グレープフルーツが漬かったサングリアを飲み、チーズを食べる。


「ケーキ食べる?」


「うん。」


「ホールじゃないけど、いろんな種類が食べれたらいいかなって思って。」


「え?ホールじゃないの?」


ウソやん…昔言ってたやん…


この辺りでは既に不穏な空気になっていた。


「なんかケーキもハロウィンの方が豪華だった気がする。」


この言葉にさすがに俺はキレた。でも本当にキレると、もっとこの状況が悪化すると思い我慢した。我慢して黙る事が精一杯だった。


「このケーキは美味しいけど、このケーキはあんまり美味しくないね。」


こいつガチで言ってるのか?誕生日だからってちょっと図に乗りすぎしゃない?


この時には既に俺はソファに横になって、仕事で疲れ、サングリアに酔って眠い「フリ」をしてた。


今にも爆発しそうな怒りを抑える最大限の努力だ。


そんな中、ポツリと聞こえてきた言葉が


「別れるか。」


だった。


今の感情と自制心のせいで、どう返事をしていいのか分からず、そのまま黙った。






気が付いたら寝ていた。


彼女はひとり寝室へ行っていた。


俺は夜中に一度目が覚めたが、寝室へは行こうとしなかった。


いや行きたくなかった。


薄いブランケットとその辺にあったパーカーをかけ布団代わりに朝までソファで寝た。


朝も目を合わせる事なく支度をした。


俺の「いってきます」に対する返事はなかった。いや俺の声が小さすぎて聞こえなかったのか?今となってはどうでもいい。


確かに学生の頃より誕生日に対する意識が落ちているのかもしれない。


でもそれは、仕事が忙しくなって時間が作れないから。


プレゼントも当日に間に合わなかったが、前日に伝えた。「週末まで待って欲しい」と。


全て仕事のせいと言ってしまうと、言い訳になってしまうことくらい分かっている。


死ぬ気になれば時間くらい作れるけど、8年付き合っていれば「そこまでしなくていいよ」ってなるはず。


どっちが悪いって問題じゃない。こういう関係になってしまったのだから仕方がない。



そう言えば、パッピーバースデイソング歌わなかったな。


ごめん。こんな彼氏で。